電力不足に苦しむ中国、北朝鮮からの電力輸入が大幅増
先月は62%も急増
最近中国で深刻な電力不足が続く中、先月中国が北朝鮮から輸入した電力量が昨年の同じ期間に比べて60%以上も増加していたことが分かった。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が24日に報じた。
同紙は中国税関の資料に基づき、中国における北朝鮮からの電力輸入量が9月に3万5924メガワット時を記録したと報じた。これは前年比で62%増だという。北朝鮮における厳しいコロナ感染対策の影響で、昨年1月から中朝の陸路の国境は事実上閉鎖状態にある。しかし今年1-9月に中国が電力料金として北朝鮮に支払った額は昨年の同じ期間よりも37%多い1190万ドル(約13億5000万円)で過去最高を記録している。
中国における北朝鮮からの電力輸入のほとんどは中朝が共同で運営する鴨緑江の水豊ダムで生産されたもので、その中の中国の取り分だ。北朝鮮が電力を増産するかどうかよりも、鴨緑江の降水量など自然の影響の方が大きいとの見方が一般的だ。ただし北朝鮮と中国双方の必要に応じて輸出量も変わってくる。実際に北朝鮮からの中国向け輸出は2017年から18年の間に2倍近く増加し、1000万ドル(約11億4000万円)を上回ってからは毎年増加している。18年は国連の北朝鮮制裁が本格化した時期に当たるが、電力輸出は制裁対象になっていない。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国は北朝鮮だけでなく国境を接する周辺国からの電力輸入も増やしている」とも伝えた。中国がミャンマーから1-9月に輸入した電力量も前年比で44%増加し、ロシアからの分も1.3%増加したという。同紙は「今月初め、ロシア国営のエネルギー企業は中国から『10-12月の電力輸出量を前年の2倍に増やしてほしい』との要請を受け、これに応じることにしたようだ」と伝えた。ただし中国全体の電力使用量に占める輸入電力の割合は小さいため、同紙は「海外からの電力輸入拡大が中国の電力不足を解決するのは難しい」とも予想した。