「チップ不足」の波の中、新エネ車への懸念を解消するには?

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最近の世界的な自動車用チップ不足の問題を受けて、2021年の世界の自動車生産量が減少するのではないかとのニュースが、自動車産業全体、とりわけ新エネルギー車産業に懸念を抱かせている。「科技日報」が伝えた。

チップは情報時代全体の発展を支える基礎だ。電動化、コネクテッド化、スマート化が自動車産業の発展方向であり、チップが自動車産業のモデル転換・高度化を支えるカギになる。

第3回世界新エネルギー車会議(WNEVC)が9月15日から17日にかけて海南省海口市で行われた。その中で業界の抱える懸念をめぐり、多くの専門家によって自動車産業の深いレベルでの変革がチップにもたらしたチャンスと挑戦、独自開発の自動車チップの産業化の発展ルートといった観点からの踏み込んだ議論が行われた。

「チップ不足」は挑戦でありチャンスでもある

スマート時代の自動車は、チップの浸透率が安定して上昇している。また国の新エネ車に対する一連の支援政策と「二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトとカーボンニュートラル)」の目標に駆動されて、ここ数年は新エネ車が急速に発展し、世界のチップ需要も急速に増大している。市場と技術の両面の需要が、自動車用チップの発展に大きなチャンスももたらしている。

浙江大学先進的集積回路製造技術研究所の張睿副所長は、「『チップ不足』が新エネ車だけではなく、自動車産業全体の発展にも影響する」と分析した。

張氏の分析によれば、チップの製造という視点から見ると、「チップ不足」の根本的な原因は需給のアンバランスだ。また自動車規格ランクのチップは検証期間が長く、ハードルが高く、メーカーの蓄積に対してさらに高い要求を突きつけているという。

統計によると、現在の中国の自動車産業の全体的規模の中で、輸入チップのシェアは90%に上り、基幹システムで必要とされるチップはすべて海外製品が独占する状態で、その他の車両電子システム用チップの独自開発率は10%に届かない。

国家新エネルギー自動車技術イノベーションセンターの原誠寅センター長は、「新エネスマートカーのチップのコストは大幅かつ急速に上昇している。中国がこの巨大な市場の中でどれくらいのシェアを占めることができるかが中国の直面する問題だ」との見方を示した。

専門家の分析では、中国は今や世界最大の自動車市場であり、自動車規格ランクのチップは国産化に向けてすでに相当規模の基礎が築かれている。中国の自動車用チップメーカーは数こそ多いが、コア競争力は形成できておらず、特にチップ産業の重要プロセスで競争力不足が目立つという。

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チップの技術分野を深く開拓することで利益を実現

原氏は、「自動車規格ランクのチップは自動車産業の中核を担う重要部品であり、中国の将来の自動車市場の方向性を決定づけるものであり、必ず自力更生して解決しなければならない重要な問題だ」と述べた。

張氏は、「どうして中国はチップを生産できるのに、自動車用チップ、特に付加価値の高いチップを生産できないのだろうか」との疑問を投げかけた。これはじっくり考えるべき問題だ。

張氏は続けて、「中国で生産されるチップのエネルギー消費量は輸入チップより55%多い。同じエネルギー消費量であれば、国内産チップの性能は輸入チップより8%低下する。中国のチップ製造のプラント技術は海外の先進レベルより弱い」と分析した。

チップの製造は単純化すると設計、製造、閉鎖テストの3段階に分かれる。この3段階の周りで支える産業または企業が大量に必要であり、たとえばシリコンチップ、マスクアライナー、電子特殊ガス、高精度フォトレジストなどを含み、どのプロセスにも技術の「ボトルネック」が出現する可能性がある。

張氏は、「自動車用チップの製造分野の競争は実際には産業チェーン全体にわたる競争だ。中国が現在、チップ製造で直面する問題は、産業チェーン全体の中で中国が進歩しなければならない点を如実に物語る」との見方を示した。

張氏は技術の収益点を分析し、チップメーカー・産業の発展の優先プランについて、「将来の中国のチップ技術をめぐるチャンスでは、より先進的な製造技術に挑戦する必要がある。中国企業は55ナノメートルノードに照準を合わせるのがよい。これは技術の面で多くの優位性を備えている」との見方を示した。

嘉興斯達半導体股份有限公司の沈華会長は、「自動車用パワーMOSFET部品の分野で、特に絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の分野で、中国国内のメーカーは今ではすべての電力レベルのIGBT製品を提供できる」と述べ、今大会に参加した各自動車メーカーの責任者たちを大いに喜ばせた。そして、「当社は中国の自動車規格ランクのパワーモジュールがこれまでずっと海外メーカーに独占されていた状況を他社に先駆けて打破した。当社の炭化ケイ素モジュールには中国内外の乗用車および商用車の注文が入っている。今年から量産をスタートし、来年は大規模生産を行う」とした。

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中国自動車用チップ産業の生態圏構築を推進

原氏は、「中国自動車用チップ産業のイノベーション生態圏は、業界の標準からキーテクノロジーの研究開発、コアチップの開発製造、製品の評価・測定・認証システム、最終的な実車テストまでの全ライフサイクルであるべきだ」として、自動車メーカーとチップサプライヤーの将来の共存と再生との関係についての構想を打ち出し、これを実践するべきだとした。

原氏は続けて、「チップ産業は強くひも付けされたサプライチェーンシステムであり、産業のハードルが高い。私たちの調査研究によると、新製品が設計されてから工場に持ってくるようでは迅速に自動車に搭載することができない」と述べた。

また原氏は、「国産自動車用チップメーカーは製造のボトルネックにも直面している。現在、中国で自動車規格ランクのチップ製造を請け負える企業は非常に少なく、このため国産自動車チップを発展させるには、研究開発と製造と2つの面での飛躍が必要になる。そこで私たちは産業チェーンを構築し、共通のイノベーションプラットフォームを牽引役として、情報のスムーズな流れ、企業による主導、政府による支援、産業のチェーン化、連盟の発足を実現することを打ち出す」と述べた。

昨年9月、原氏が発起人となって多くの機関による中国自動車用チップ産業戦略連盟が発足した。原氏の説明によれば、連盟が発足してから、さまざまの有益な取り組みが行われ、それには自動車用チップのビジネス保険を打ち出して、自動車メーカーに国産自動車用チップを採用するよう促すことや、産業チェーンの各方面を協同させて、自動車用チップの標準システムの構築を推進することなどが含まれていた。同連盟は自動車用チップのテスト・検証プロセスも積極的に推進し、自動車用チップメーカーと完成車企業との川上から川下に至る需給のマッチングを促進し、これには共同開発などの取り組みも含まれていた。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年9月22日

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