周小川氏「デジタル人民元はドルや第三者決済に代わろうとしていない」
デジタル人民元に関する話題が注目を集め続けている。中国金融学会の会長で清華大学五道口金融学院の名誉院長でもある周小川氏はこのほど、2021年清華五道口グローバル金融フォーラムに出席した際、最近のデジタル人民元に関する一部の議論についてコメントし、誤った見方を正した。「中国証券報」が伝えた。
「中国のデジタル人民元システム(DC/EP)がどのような発展を遂げても、米ドルの国際的な主導的地位に代わることはできない」とする見方がある。周氏はこれに対し、「こうした見方それ自体が誤っている。DC/EPの発展は主に中国国内の決済システムの現代化に立脚しており、デジタル経済とインターネット時代の歩みを追い、機能を向上させ、コストを引き下げる。特に小売決済システムのサービスで機能向上とコスト低下を実現する。本来の設計の目的と努力の方向性は、米ドルの準備通貨としての地位や国際決済通貨としての地位に取って代わることではない」と説明した。
「中国のデジタル人民元の研究開発テストは人民元国際化と密接に関連する」との見方もある。周氏は、「人民元決済システムの現代化とデジタル化は、人民元の地位向上、人民元の国境を越えた使用の向上をある程度後押しするだろうが、それほど大きな後押しではない。人民元国際化は体制と政策の選択によって決まる部分と中国の改革開放の進展状況によって決まる部分がより大きく、技術的な要素ではない」と述べた。
周氏は、「中国人民銀行(中央銀行)が推進するDC/EPは第三者決済の役割に取って代わろうとするものだ」との見方に対しては、「中国人民銀行は、DC/EPの計画が一種の二層システムであり、研究開発チーム全体が人民銀行によって組織され、主要商業銀行や通信キャリア、いくつかの第三者決済機関が共同で研究開発に参加し、すべてこれまでの作業を基礎としながら、高度化・バージョンアップの新たな段階へ進むものであると明確にしている。全員が同じ船に乗っているのだ。もちろん同じ船に乗る人同士は時には意見が合わないこともあり、一部の問題で論争になる可能もある。しかし、それでもやはり同じ船に乗っているのであり、誰かが言うような内紛ではないし、誰かが誰かに取ってかわるということでもない」と述べた。
また周氏はデジタル人民元のコントロール可能性と匿名性の議論に対してコメントした。「決済システムは必ずプライバシー保護とアンチマネーロンダリング、テロ対策、麻薬対策、越境賭博対策との間でバランスを取らなければならない。プライバシーを保護すると同時に、一部の活動に必要な監視とコントロールも行なわなければならない。中国DC/EPはコントロール可能で匿名ということを明確に打ち出し、これはつまり、プライバシー保護とアンチマネーロンダリング、麻薬取引対策との中間で、バランスの取れたポイントを見つけることを意味している」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年5月24日