合併買収+新工場投資 中国事業を拡大する日清食品
日清食品は急速な拡張の歩みを止めることなく、新たに工場を建設することを発表した。日清食品は2日夜、「珠海聯智科技有限公司(以下「珠海聯智」)の全株式買収に関して、当社の100%出資子会社である日清食品(中国)投資有限公司とGrandview China Holdings Limitedおよびその最終支配株主は7月2日、株式譲渡契約を結んだ」とする公告を発表した。北京商報が伝えた。
公告によると、珠海聯智は主に製造業務に従事しており、珠海に約3万平方メートルの工業用途として開発済みの土地を有している。買収完了後、日清食品は約1億8千万元(1元は約15.7円)を投資してこの土地に包装素材を生産する新工場を建設する予定で、新工場は2021年までに竣工する見通しだ。日清食品は、「買収と新工場建設により、日清グループの生産コストを低減し、珠海の生産施設との間に相乗効果を生むことが可能になる」としている。
実際、2017年の日清食品の上場は工場建設資金を調達するためだった。主に福建省の厦門(アモイ)工場と浙江省の平湖工場で、現在この2工場はすでに生産を開始している。日清食品側も、工場建設はコスト管理と利益向上のためだとしていた。
中国食品産業アナリストの朱丹蓬氏は、「今回の珠海工場投資建設計画も、地理条件の面で優位性があり、日清食品の高級志向の消費者層ともマッチしている。同時に、日清食品が中国大陸部市場への投資を拡大するという情報を伝えるものでもあった」と分析した。
年次報告書によると、日清食品は2018年に営業収入29億9900万香港ドル(1香港ドルは約13.9円)を達成し、前年同期比で11.5%成長した。また純利益は2億500万香港ドルで、前年同期比5.2%の成長となった。日清食品の営業収入は主に中国大陸部と香港地区の二つの部分で構成されている。そのうち、中国大陸部市場の収入は前年同期比12.5%増の16億7500万香港ドルに達し、日清食品全体の業績の55.9%を占め、この割合は2017年と比べ55.4%高くなった。日清食品の中国香港地区市場の営業収入は13億2400万香港ドルで、営業収入総額に占める割合は低下した。
しかし中国大陸部市場の競争はますます激化しており、日用消費財企業はシェア拡大のために次々と商品価格と商品戦略を調整している。
高級即席麺市場でも、統一湯達人や康師傅速達、KIKI手工拌麺など多くの競合先が出現している。また、一部のネットで有名な即席麺商品も主に高級化路線を取っている。営業収入を高めるために、日清食品もポテトチップスやキャンディ、冷凍食品、飲料など即席食品以外の商品を開拓し始めている。
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同時に、日清はノンフライ即席麺市場も開拓しており、日清ラ王ブランドを打ち出し、さらに昨年はラーメンの生産ラインをグレードアップすることを発表した。現在日清はすでに香港でさまざまな味のノンフライ棒ラーメンを発売している。日清食品は、棒ラーメンの生産ラインのグレードアップ後は、すぐに大陸部や台湾地区の市場向け商品供給を実現するとの見通しを示した。
このほか、日清食品は3000万香港ドルを投資してシリアル生産ラインを建設し、2019年1月から商品の販売を開始している。
朱丹蓬氏は、「市場規模と市場状況から見て、日清食品がこれほど急速に製品ラインを展開しているのは若干性急で、短期的には資金の投入とアウトプットが比例しないリスクが存在する。しかし将来性を見据えた戦略という視野に立つと、この投資は評価に値する。ブランドを立ち上げ、それを利益の上がる事業にしていくことは、日清食品が今後2-3年で直面する試練と挑戦になるだろう」と語った。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年7月5日