ウクライナ情勢の誇張、米欧それぞれに思惑
米国と欧州諸国は最近、ウクライナ問題をめぐり外交活動を繰り広げている。欧州諸国は米国と意思疎通を保ち、立場を調整しているものの、緊張緩和により傾いている。多くのアナリストが、米国は火に油を注ぎ、欧州諸国は火消しを図る傾向にあり、ウクライナ情勢への対応における違いによって両者間の溝が露呈しており、各々に計算があることを指摘している。新華社が伝えた。
■米国は火に油を注ぐこと、欧州は火を消すことに重点
このところ、米国は世論への宣伝、制裁の脅し、軍事的エスカレーションなど様々な手段でウクライナ情勢の緊張を誇張している。米国は、ロシアがウクライナに「侵入」すれば、同盟国やパートナーと共に厳しい制裁を科すと繰り返し脅している。具体的には、ロシア国内の複数の大手銀行及びプーチン大統領個人に対する制裁、国防・軍需産業関連の先端技術分野における対露輸出規制の発動、先進的技術の獲得制限だ。
「米国はロシアとの外交的接触を望むと主張する一方で、戦争が迫っていると力の限り宣伝し、その準備が整っているそぶりを見せ、緊張をさらに高めようとしている」とアナリストは指摘する。
一方、欧州各国の政府要人は最近、ウクライナ情勢の調停に積極的に乗り出している。欧州諸国は外交調停において、ロシアに強硬な圧力をかけるだけでなく、解決策の模索により傾いている。例えばマクロン仏大統領は数回の外交活動において、ロシアの安全保障上の懸念に理解を示すとともに、将来の欧州の安保体制について自らの構想を提示した。独仏両国はロシアとウクライナの「ノルマンディー・フォーマット」の会談を再開し、2015年調印の「ミンスク2」の履行を後押ししようとしている。
■米国と欧州の考えの違いは大きい
アナリストは、「ウクライナ危機への対応における欧米の違いによって、地政学的戦略における両者間の深い溝が露呈した」と指摘する。内政面で実績に劣るバイデン政権は、ウクライナ問題を利用して国民の関心をそらすとともに、ロシアを共通の敵に仕立て上げることで欧州の同盟国を抱き込み、米国が主導・掌握・コントロールする欧州秩序を維持する必要がある。そのため、ウクライナ情勢の緊張が続くことは米国の利益に資するのだ。しかし、ウクライナをめぐる軍事衝突の発生が米国に及ぼす影響は限定的だが、欧州諸国には難民の大量流入、対露制裁による巨額の経済的損失、「ノルドストリーム2」プロジェクトの頓挫といった耐え難い結果をもたらす。だからこそ、欧州はウクライナをめぐる衝突の回避を最重要目標としているのだ。
米PBSのコメンテーターは番組で、「米国と欧州の同盟国との溝が公の場で表れることは少ないが、水面下でははっきりしている。欧州、特にロシアに隣接する国はロシアとの貿易関係が緊密であり、欧州は対露制裁により大きな懸念を抱いている。一方、米国は対外貿易においてロシアの占める割合が小さい」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年2月17日