2020年、中米経済貿易問題や東アジア協力の行方に注目
2019年に世界は大きな情勢変動の最初の段階に入った。大国間は直接の戦争こそなかったが、駆引き、溝、矛盾が未曾有の水準にまで達した。そして、2020年も穏やかではない一年となるかもしれない。(文:楊成緒元大使。解放日報掲載)
■中米は互恵的取り決めを引き続き模索
昨年末に中米は第1段階の経済貿易合意文書について意見が一致した。これは中米両国民及び世界の人々の利益にかなう。現在に至るまで、米国は経済・科学技術・外交・軍事・教育分野で圧力をかけることで、中国の台頭を阻み、世界の覇者としての地位を維持しようと企てている。だが第1段階の経済貿易協議を通じて、双方は貿易紛争が中米両国を傷つけるだけでなく、世界各国も傷つけることを認識するに至った。今年行なわれる第2ラウンドの経済貿易交渉は、さらに困難なものになる見通しだ。だが中国には米国と共に努力して、双方に資する案を探る自信がある。この目標を達成するのは、不可能なことではない。
■東アジア協力を一層深める
近年、ASEANが経済的に成長し続け、政治的協力を強化し続けるのに伴い、ASEANプラス3(中日韓)協力は新たな情勢下で再始動し、新たな生命力を獲得した。とりわけ昨年の中日韓サミットに続き、三カ国と東アジア諸国との相互関係が新たな進展を得ることは間違いない。
2020年に東アジアは経済協力を一層深める。今年東アジア諸国はRCEPに署名し、中日韓自由貿易協定(FTA)の署名も加速する見通しだ。
■西側の分断が一層拡大
昨年、フランスでは「黄色いベスト運動」が勃発し、年末にも政府の年金給付額変更が凄まじい勢いのデモを引き起こした。これはフランスで貧富の格差が拡大し、社会保障・福祉が持続困難になっていることの反映だ。実はEUの少なからぬ国々が同様の苦境に陥っている。
今年は、「ブレグジット」(英国のEU離脱)がすでに固まっている。EUは加盟国間の様々な摩擦を抱え、米国による強烈な打撃を受けてもいる。EUでは独立的に自らを強化し、米国のコントロールから脱することを訴える声が日増しに高まっている。このため、2020年にEUはロシアとの関係緩和、ウクライナ危機の緩和を試みる。これはすでに重要議題に上がっている。
ロシアはすでに供給を開始している天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム1」に加え、昨年末にウクライナと10年間の天然ガス輸送契約に合意した。これにより、ウクライナへの天然ガス供給だけでなく、東欧諸国への天然ガス供給も継続される。一方で、パイプラインを敷設するスイス・オランダ系企業への米国の制裁によって、ロシア・ドイツ間の「ノルド・ストリーム2」はまだ130キロ余りの敷設が完了していない。米国の制裁にドイツや欧州の一部の国は極めて憤慨している。ロシアは、残るパイプラインを敷設する能力があり、米国には断じて譲歩しないとの声明を出した。また、ロシアとトルコの敷設するパイプライン「サウス・ストリーム」はすでに「トルコ・ストリーム」の黒海海底区間の第1ラインが竣工したが、ブルガリア部分は遅々として着工しておらず、ロシアのプーチン大統領から批判されている。米国が妨害を強めなければ、パイプラインは今年年末までに竣工する見通しだ。ロシアから欧州へのパイプライン4本が全て竣工すれば、ロシアとEUの関係が強化され、現在の地政学的状況が変化することを意味する。
昨年末前、米国が他国を顧みる暇がない間に、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナの4カ国はパリで首脳会談を行なった。現在、EUもロシアもウクライナ危機の問題で年内に突破口を開き、ウクライナ東部地域の地位問題を解決することを望んでいる。だが今年最大の未知数は、米国がウクライナ問題の緩和を容認するはずがなく、EU、ロシア、ウクライナの接近に反対するということだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年1月3日