「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?
菅義偉内閣発足後、「菅外交」も本格的に始動した。日米両国の首脳は電話会談で日米同盟の強化を再確認した。だが日本メディアによると、敵基地攻撃能力の構築という安倍政権の残した「宿題」や、近く行われる在日米軍経費負担交渉等のため、菅内閣は安保問題で圧力に直面している。これは日米同盟の在り方に変化が生じる可能性があることも意味している。今後の日米同盟関係においては、日本による一層の外交の自主性の追求、米国による対日コントロール・利用の強化、日米の相互助力という三者間の駆引きが激化するだろう。(厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員。環球時報掲載)
菅内閣の対米外交政策にはだいたい3つの可能性があり、この3つが交互に進む可能性もある。1つ目は、日本の対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めるという可能性だ。これは今年末か来年初めに打ち出す新たな国家安保戦略で具体化される。弾道ミサイル攻撃・防御技術、先進的戦闘機・軍艦を独自開発し、さらには宇宙・電子・サイバー技術の開発に力を入れる。これらはいずれも、従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。2つ目は、日米同盟の枠組みの維持を前提に、日本は米国の影響力の助けを借りてインド太平洋地域でさらに多くの利益を獲得する一方、米国は日本という同盟ツールを利用することで、インド太平洋地域で中露を封じ込め、牽制するという目的を達成するという可能性だ。3つ目は、日本は米国の強固な同盟国としての役割を続け、引き続き米国に忠実に追随し、米国の指揮下で米国のグローバル戦略の遂行を手伝うという可能性だ。
以上3つの可能性のうち、1つ目は日本の政権上層部が将来に向けて計画している戦略構想であり、米国の幾重もの圧力に直面してもなお段階的に推し進めるだろう。ただそのプロセスは長期的で漸進的なものとなり、量的変化から質的変化へという螺旋蓄積型発展になるだろう。2つ目は菅内閣を含む日本が現在進めている対米外交であり、菅内閣の最初の一年にとって割合穏当な在り方でもある。3つ目はいくつかの大きな要因次第だ。例えば、▽菅義偉首相が十分な外交能力を示すことができるか否か▽トランプ大統領が再選された場合に、対日姿勢を強め、米国のグローバル戦略に一層貢献するよう圧力をかける可能性▽インド太平洋地域情勢の緊張によって、日本は安保圧力が増大し、引き続き安全と引き換えに米国に追随せざるを得なくなるといった要因だ。
また、日米同盟内の意見の相違や潜在的摩擦も、今後の関係発展に少なからぬ可変的要素をもたらす。こうした可変的要素がある程度まで積み重なり、かつ噴出した場合、インド太平洋地域にも波及効果をもたらすだろう。
日本のインド太平洋構想も、米国版「インド太平洋戦略」も、米国のインド太平洋における韓国、オーストラリア、さらにはフィリピンやシンガポール等との一連の同盟体制や、現在構築を急いでいる米日豪印4か国の安全保障枠組みに関わる。米側が日本に対する負担要求や圧力を強めた場合であれ、日本が自主性の強化を図った場合であれ、いずれも日米同盟の枠組みに一定の偏向、さらには変動をもたらし、地域に影響を生じさせるとみられる。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年9月25日