米 vs イラン、レバノンが“主戦場”に 思惑交錯する中で海洋境界協議

2020.10.16

 中東の小国レバノンが、域内での勢力拡大を図るイランと、それを封じ込めようとする米・イスラエルとの争いの舞台になっている。今月には、トランプ米政権の仲介でイスラエルとレバノンが海洋の境界画定について協議がスタートし、外交活動も活発化してきた。同国で強い影響力を持つイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは、イランにとって最重要の代理勢力。米政権には、協議を実現させてヒズボラの影響力を薄め、イスラエルの安全保障環境を安定させる狙いがあるとみられる。(カイロ 佐藤貴生)

地中海を望むレバノン南部にある国連平和維持部隊の施設。イスラエル軍のレバノン撤退を監視することなどを主任務とする。両国関係の不安定さを象徴する存在だ =14日(AP)

カギは経済

 イスラエルとレバノンの間には国交がなく、実現すれば両国の政治協議は約30年ぶりとなる。レバノンが異例の協議に歩み寄った背景には、経済的な事情がありそうだ。

 レバノンが面する東地中海では大規模な天然ガス資源が相次いで発見されており、イスラエル側海域では豊富な埋蔵量が期待されるガス田で昨年暮れ、生産が開始された。一方、レバノンが試掘を計画する海域はイスラエルが自国海域だと主張するエリアと重複している。

 3月にデフォルト(債務不履行)を宣言し、8月には首都ベイルートで大規模爆発が起きたレバノンでは経済破綻が深刻化している。画定された海洋境界内で有望なガス田が見つかれば、経済的苦境が和らぐとの期待がある。

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