英・EUのFTA交渉「時間切れ」迫る
12/20(日) 17:38配信
FTA交渉で対立する英EU双方の主張
【ロンドン=板東和正】英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉の時間切れが迫っている。妥結しても双方の議会で批准する必要があり、期限を年末に控える中、EU欧州議会は20日深夜(日本時間21日午前)までの妥結を求めている。決裂により“合意なき離脱”に突入するのか、議会の批准を後回しにして暫定的な採択を目指すのか。交渉は土壇場を迎えた。
英EUは3月上旬にFTAの交渉を開始した。交渉では、「EUの漁船による英周辺海域での漁業権」や「企業の公正な競争環境の確保」、「紛争解決のあり方」という3つの主要課題で協議が難航していた。
こうした中、EUのフォンデアライエン欧州委員長は今月16日、「紛争解決のあり方」について「ほぼ解決した」と発言。その一方で17日にジョンソン英首相と電話会談した際には、「漁業権の課題で大きな相違が残っており、それを埋めるのは困難だ」との見方を示した。
ジョンソン氏も会談で、「(交渉が)深刻な状況に陥っている」とし、「EUの立場が大きく変わらない限り、合意できない可能性が高い」とフォンデアライエン氏に警告した。
英国は現在、EUとの経済関係などが維持される離脱の「移行期間」にあるが、同期間は年末に終了する。移行期間中にFTAを発効させなければ、英国とEU間の貿易には関税が発生し、物流も停滞するなど、欧州経済が混乱すると懸念されている。
FTAを発効させるためには、英EUが交渉で合意した後、それぞれの議会での承認が必要となる。ジョンソン政権はEUと合意できれば、数日以内に英議会で承認を得る方針を示している。ただ、欧州議会は「20日深夜まで」に妥結できた場合に限り、年内に承認する方針を示しており、残された時間は少ない。
妥結が21日以降にずれ込んだ場合、英EUは混乱回避のため、合意したFTAを暫定的に発効させ、欧州議会の承認を後回しにする可能性がある。この場合、欧州議員らが反発するのは必至だ。
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最終更新:12/20(日) 18:54