英EUのFTA「最後のひと押し」 交渉官が発言

 【ロンドン=板東和正】欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は22日、ロイター通信などに対し、英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉について、「重要な局面に入っており、EUは最後の一押しをしている」と述べた。英国側が交渉の最大の課題である「英周辺海域での漁業権」で妥協する姿勢を見せているとの報道があり、協議の前進が期待されている。

 FTA交渉では漁業権や「企業の公正な競争環境の確保」の主要課題で協議が難航している。特に、漁業権をめぐっては英EU間に「大きな相違」(EUのフォンデアライエン欧州委員長)があった。

 しかし、英メディアによると、英国側は漁業権に関して譲歩案を提示。EU外交官は合意は間近との見方を示した。ただ、EUが英国側の譲歩案を拒否したとの報道もあり、情報が錯綜(さくそう)している。

 英大衆紙サン(電子版)は22日、英当局者の話として、英EU双方が24日より前の合意を望んでいるが、交渉は膠着(こうちゃく)していると報じており、決裂する可能性もある。

 英国は現在、EUとの経済関係などが維持される離脱の「移行期間」にあるが、同期間は年末に終了する。移行期間中にFTAを発効させなければ、英EU間の貿易に関税が発生し、欧州経済が混乱する。合意したとしても、議会承認を経ずにFTAを暫定的に発効させる可能性がある。

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