英・EUがFTA交渉合意 議会承認経ず暫定発効も

 【ロンドン=板東和正】英国と欧州連合(EU)は24日、自由貿易協定(FTA)交渉で合意した。英メディアが報じた。貿易に関税が発生し、経済が混乱する事態を回避するために詰めの協議を続けられてきた。年末の期限まで残り時間が限られていることから、英国とEUは双方の議会の承認を経ず、FTAを暫定的に発効させる手続きを検討する。

 2016年6月の英国の国民投票に端を発した英国のEU離脱問題は、約4年半を経て決着した。

 英EUは3月上旬にFTAの交渉を開始した。交渉では、「EUの漁船による英周辺海域での漁業権」や「企業の公正な競争環境の確保」「紛争解決のあり方」という3つの主要課題で協議が難航していた。

 英メディアによると、最大の課題とされていた漁業権をめぐり、英EUは英周辺海域でのEU加盟国の漁獲量を5年半かけて25%削減する方針で一致した。ただ、EU欧州委員会が漁獲量を計算する際に古いデータを使用していたことが発覚するトラブルがあり、最終段階で内訳となる100種類以上の魚の漁獲量を決める協議が行われた。

 EUを離脱した英国は現在、従来の経済関係が維持される「移行期間」にある。年末に終了する移行期間中にFTAを発効させなければ、関税が発生する。発効には英EU双方の議会で批准する必要があるが、欧州議会の批准の期限を過ぎているため、暫定発効が検討されるとみられる。

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