「日本のすべて注ぐ」万博準備本格化へ
2025年大阪・関西万博会場のイメージ図
2025年大阪・関西万博の運営主体「日本国際博覧会協会」の基本計画が25日公表された。4年半後の開幕に向けた準備が本格化する。会場建設費が当初想定より大幅に膨らみ、新型コロナウイルスの感染拡大で関連スケジュールの変更を余儀なくされる中、井上信治万博担当相は「日本が持てるものを全て注ぎ込み、世界中の人々や子供たちに夢や希望を与える万博を作りたい」と強調した。
「未来社会のショーケース」をうたう大阪・関西万博。計画には先端技術の活用がふんだんに盛り込まれた。来場時のスムーズな認証や、清掃や運搬などを担うロボットを導入。場内の移動手段として、高齢者や障害者らの利用を想定した小型モビリティーを運用する。
8人のプロデューサーが担う「テーマ館」でも先端技術が生かされている。メディアアーティストの落合陽一氏は「いのちを磨く」をテーマに、デジタル技術で東洋的な価値観にもとづいた自然を表現し、外観が変化するモニュメントを作る。
「いのちを育む」をテーマにするのはアニメーション監督の河森正治氏。地球や宇宙ステーションを模したパビリオンを設け、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術を活用。鳥や魚、植物の食物連鎖を体感するアトラクションを導入する。
会場デザインで目を引くのは、1周約2キロの「大屋根」付きの環状通路。来場者を雨や日差しから守るとともに、屋根の上を歩道とすることでパビリオンを見渡すことができる。全てのパビリオンにアクセスできる分かりやすさと、緊急時の避難のしやすさも考慮した。担当した建築家の藤本壮介氏は1970年大阪万博の「太陽の塔」が屋根に穴を開けて突き出る形だったことを意識したという。