緊急事態宣言 政府なお慎重 経済打撃トラウマに 1都3県知事要請
1/2(土) 19:52配信
首相官邸=本社ヘリから
東京都の小池百合子知事ら首都圏4都県の知事が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を出すよう要請したのに対し、政府は宣言発令になお慎重な姿勢を崩していない。昨年4~5月に宣言を出した際に、経済への悪影響が生じた記憶が新しいからだ。また、宣言のもとでの休業要請に強制力が生じるわけでなく、「宣言自体に実効性はない」(首相官邸関係者)という事情もある。
菅義偉首相は12月25日収録のテレビ神奈川の番組(1月1日放送)で「ブレーキとアクセルを同時に踏むこともある。私自身悩みながら判断してきている」と述べた。「アクセル」とは旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業などの経済刺激策、「ブレーキ」は営業時間の短縮要請を含む感染防止対策を指す。首相は常々、感染防止と経済活動の両立の重要性を強調しており、2日は首相公邸で感染状況の報告を聞いたものの、4知事への対応は西村康稔経済再生担当相に任せて議員宿舎に戻った。
新型コロナウイルスの影響で、2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は年率28・8%減と戦後最悪のマイナス成長を記録した。宣言が出ていた時期と重なり、感染拡大防止と合わせて経済再生を最優先に掲げる首相としては、宣言発令による経済のさらなる落ち込みは避けたいのが本音だ。
政府内には「今必要なのは緊急事態宣言ではなく、むしろ飲食店の時短要請だ」(関係者)との声もあるが、首都圏の街中では「時短要請にお店に従ってもらえていない」(別の政府関係者)のが実情。一方で仮に宣言を発令しても、罰則などの強制力が伴わない。政権幹部は、宣言発令について「メッセージでしかない」と指摘し、「発令しても時短要請に従わない店が多く出るだろうし、その店名を全部公表してもいられない」と漏らした。【竹地広憲】
最終更新:1/2(土) 21:14