<独自>中国に「戦略的忍耐」適用せず 米ホワイトハウス報道官が本紙に言明
米ホワイトハウスで記者会見するサキ大統領報道官=3日、ワシントン(UPI=共同)
【ワシントン=黒瀬悦成】サキ米大統領報道官が先月、バイデン政権の対中政策に関し「戦略的忍耐をもって対応したい」と述べたことに関し、ホワイトハウスは9日、オバマ政権下で北朝鮮の核問題への対応でとった「戦略的忍耐」の政策方針を中国に対して適用することを意味しないと強調した。ホワイトハウス報道官が産経新聞の取材に明らかにした。
サキ報道官の発言は、オバマ政権が戦略的忍耐と称して北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の進展を看過した失敗を対中政策で繰り返す恐れがあると受け止められ、日本の一部で波紋が広がっていた。
ホワイトハウス報道官はオバマ政権の北朝鮮政策を念頭に「戦略的忍耐という語句は、過去において特定の政策的アプローチを形容する際に使われていた」と指摘。その上で、「インド太平洋と中国に関する包括的戦略を構築する上で、戦略的忍耐という(政策の)枠組みを採用する意図はない」と明言した。
バイデン政権は対中政策を含むインド太平洋戦略に関し、地域の同盟・パートナー諸国と協議しつつ見直し作業を進めている。
ワシントンの外交専門家の間では、サキ報道官の発言は、一連の見直しを踏まえた米政権の新たな対中戦略が本格的に策定されるまでに「多少の期間がかかる」との意味であると受け止められている。
ブリンケン国務長官は8日、CNNテレビの番組に出演し、「トランプ前大統領の対中強硬路線は基本原則としては正しかった」と指摘した上で、具体的な政策に関しては前政権での反省点を踏まえ、同盟強化や民主・人権の価値観の重視、中国の侵略抑止に向けた米軍の態勢構築などを進め、「強い立場から中国に対処する」とした。