NDB新総裁が就任 グリーン分野と自国通貨建て決済が注目点に
2023年4月13日、新開発銀行(NDB、BRICS銀行)は上海市の本部で新総裁の就任式を行った。この1ヶ月前、NDB理事会の全会一致でブラジル元大統領のジルマ・ルセフ氏が総裁に選ばれ、新総裁に即時任命された。
NDBは約款に基づいて引き続き新メンバーを受け入れるとしている。2021年にはバングラデシュ、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイを新たな加盟国として迎えた。
NDBはその創立以来、加盟国のプロジェクト累計98件を承認し、投資総額は約332億ドル(1ドルは約132.6円)に上った。そのうち23年第1四半期(1-3月)末時点で、ブラジルのプロジェクト22件を承認して投資総額は約62億ドルとなり、中国のプロジェクトは累計24件を承認して投資総額は約90億ドルだった。投資の重点分野はクリーンエネルギー・エネルギー効率、交通インフラ、水・衛生設備、環境保護、社会インフラ・デジタルインフラなどをカバーしている。
NDBの融資では、加盟国が持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)および「パリ協定」と一致した発展目標を実現するよう支援することに力を入れている。NDB副総裁兼最高財務責任者(CFO)のレスリー・マースドープ氏は、「環境、社会、ガバナンス(ESG)が目下の議論で主導的な位置を占める。当行は早くからBRICSがグリーンシフトの旅路を歩むよう支援してきた。当行はBRICS諸国で50億ドルを超える規模のクリーンエネルギープロジェクトと再生可能エネルギープロジェクトを展開している」と述べた。
自国通貨建ての融資はNDBの価値を体現する重要なものだ。23年第1四半期末までに、NDBが加盟国の自国通貨建てで提供した融資額が投資総額に占める割合は21.5%に達した。
従来的には、多国間開発銀行の融資の大部分は米ドルやユーロなどの外貨建てで提供されてきた。しかし短期金融市場の変動を受けて、債務者は潜在的な通貨のミスマッチのリスクに一層敏感になった。インフラプロジェクトの収入の大部分は現地の通貨で計算するため、加盟国の国内資本市場で資金を調達して通貨のミスマッチを回避することには、合理的な商業的な意義がある。21年末現在、加盟国の自国通貨建てのポートフォリオがNDBの投資総額に占める割合は23.3%に増えた。またNDBの対中融資の70%以上が人民元建てで行われている。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年4月14日