生成AI導入の意識調査 経営幹部は「かつてないプレッシャー」で苦悩
Teradataは、全世界の企業経営幹部を対象に実施した生成AIの導入や活用に関する調査結果を発表した。9割が生成AIによる恩恵と可能性を理解しているものの、生成AIによる成果に疑念を抱いている人の割合は6割超に上った。
[山口哲弘,ITmedia]
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Teradataは2023年8月1日(米国時間)、全世界の企業経営幹部を対象に実施した生成AIの導入や活用に関する調査結果を発表した。同調査は同社がIDCに委託し、2023年3月に米国および欧州、アジアの経営幹部900人を対象に実施したものだ。
それによると、9割が生成AIによる恩恵と可能性を理解していたが、同時に世界の大企業の経営幹部がかつてないプレッシャーに直面している状況が分かった。
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今回の調査は、米国および欧州、アジア各国の企業の経営幹部900人を対象に実施した。その80%近くが「生成AIが自社の将来のサービスや業務に活用される」と高い割合で確信していることが分かった。
ただし、生成AIが示すインサイトの品質と完全性を保証するために「ガバナンスの強化が必要だ」と考えている人の割合は86%、「生成AIのバイアスやAIによる偽情報の作成の可能性について懸念している」とした人は66%だった。
また、生成AIを活用するための技術的環境が、「現在、非常に整っている」または「現在、整っている」と回答した人の割合はわずか30%。6~12カ月後に整っているかどうかを訪ねた質問には、「現在整っている」と回答した30%を含めても全体で42%に過ぎず、生成AI技術をめぐる格差の拡大が課題となっている。それにもかかわらず56%が「今後6~12カ月以内に組織内で生成AIを活用することへの大きなプレッシャーを感じている」と回答した。
ただし大半は、生成AIが現在のように世論の寵児であり続けるとは確信していなかった。「生成AIの利点と可能性を理解している」と回答した人は89%を占めたものの、57%が「生成AIへの関心は時間とともに薄れる」と考えていた。
一方、企業のデータ倫理については、「データ倫理とデータの責任ある利用が最も重要だ」と回答した人の割合は92%。97%が、「自社組織はデータ倫理とデータの責任ある利用に精通している」と答えた。「組織内に正式な倫理的データ担当または委員会を設置している」と回答した人は約9割に上った。
また、54%が「組織内のインフォメーションフローは制約がなく自由である」と回答し、自社のデジタル化への取り組みについて「平均以上によくできている」と評価した人は49%を占めた。「組織内で利用可能なデータから価値を生み出すことに専門家レベルで取り組んでいる」と回答した人は33%だった。Teradataでは、企業がデジタル的に成熟しつつあると見ている。
過去2年間に新たに企業の経営戦略に影響を及ぼした事由や、組織に起こった変化では、「環境/社会/コーポレート・ガバナンスへの関心が高まった」(53%)や「経済的な課題や地政学的な変化/サプライチェーンの混乱/戦争/インフレへの関心が新たに高まった」(47%)、「在宅勤務やハイブリッドワークが増加」(47%)が上位に挙がった。
回答者の約7割が、こうした原因によって組織内のデータの複雑性が増していると指摘しており、20%が過去24カ月で実際に「複雑性が大幅に増した」と回答した。さらに、今後2年間はデータの複雑性は「変わらず続く」または「増加する」と回答した人は85%、データ問題が著しく複雑になると確信している人は20%だった。
なお、Teradataは2023年7月25日(米国時間)、Stemma Technologiesを買収したことを発表した。Stemmaは、AIや機械学習を活用した手法が注目されている。2020年の設立以来、メタデータをカタログ化し、データ管理を効果的にすることで企業のデータ活用の促進を支援している。
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