AIで配送計画を効率化 立案ロジックに熟練者の経験を反映――日立、「配送最適化サービス」を開始
日立製作所は、AIで配送計画の立案を自動化する「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を開始。計画立案のロジックに熟練者の経験を反映させた独自のアルゴリズムを用いた分析により、短時間で効率的な配送計画を立案できる。
[金澤雅子,ITmedia]
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日立製作所(以下、日立)は2019年2月28日、AIやIoTを活用して、実効性の高い配送計画を立案する「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を発表。2019年4月1日から、日本、中国、タイでサービス提供を開始する。価格は個別見積もり。
「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を活用した配送業務フローのイメージ
同サービスでは、従来、熟練者がさまざまな要件を考慮し、膨大な時間をかけて行っていた車両単位の配送先・配送日時の割り付けや配送ルートの策定といった配送計画を、AIを活用して自動化した。
配送計画の立案には、納品日時、物流センターや拠点の位置、走行ルート、移動時間、渋滞情報、積み荷、滞店時間、トラックの車格(積載量や種類)、ドライバー条件などを考慮する必要がある。同サービスでは、これらのデータを変数化するとともに、熟練者の経験(トラック横付けスペースの利用順序決定、複数ある配送候補日の調整など)を取り入れた日立独自のアルゴリズムを用いたデータ分析により、効率的な配送計画を自動で立案する。
「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」の配送計画の管理画面
さらに、配送後のトラックの走行記録をGPSで取得してデータ連携させることで、自動で配送実績を作成し、管理画面上で車両やドライバーごとの実績(配送時間、ルート、作業内容、配送コスト、配送遅延率など)を可視化。これにより、実績の把握や配送計画との比較ができる。
これらの配送実績データを分析することで、配送精度の向上を図ることも可能。日立の支援サービスとして、これらのデータを分析して計画立案に関わる条件設定に反映する他、今後、顧客自身が改善できるように、AIを活用した分析機能の追加も予定している。
また、同サービスは、日立のIoTソリューション「Lumada」のオープンなIoTプラットフォームを活用しており、顧客が既に利用しているシステムのデータや他社サービス、オープンなデータとも連携が可能。ニーズに合わせた環境を迅速かつ柔軟に提供できるという。
今回のサービス開始に先立ち、三井物産と実証実験を実施。人手による配送計画に基づく実績データと、同サービスを使ったシミュレーション結果を比較検証した結果、同サービスではトラック台数を最大約10%削減できることを確認。また、従来は複数の熟練者が人手で1~2日かけて作成していた月次配送計画を1~2時間で自動立案できたという。これにより、配送業務の効率化や物流コストの削減が期待できるとしている。
日立は、「Hitachi Digital Solution for Logistics」を、IoTソリューション「Lumada」の一つに位置付け、物流業務のデータを収集、蓄積、分析することで、物流業だけでなく、製造業や小売業を含めたさまざまな業種のロジスティクスに関する課題解決やバリューチェーンの最適化を支援するサービス群として体系化し、提供していく方針。
今回提供を開始した「配送最適化サービス」は、特定の物流拠点の配送網内で活用するサービスであり、これを第一弾とし、今後は、複数の物流拠点の配送網にまたがるトラック積載率を向上させる「配送圏最適化サービス」や、物流拠点間の輸送も含めた広域の配送効率を高める「輸送最適化サービス」などのサービスメニューを順次拡充していく。
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