【独自】日産、欧州販売網を縮小へ…ルノーに委託
1/1(金) 5:06配信
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(写真:読売新聞)
日産自動車が、欧州で進める大規模なリストラ計画の全容がわかった。2021年中にも主に東欧各国から自前の販売網を撤退するほか、スペインの2工場の閉鎖や人員削減にも踏み切る。現地での生産や販売は提携関係にある仏ルノーへの委託に切り替え、経営全体の重荷となる欧州事業の早期黒字化を目指す。
販売網の撤退は、ハンガリーやポーランドといった東欧を中心に、オランダなど西欧の一部を含めた約30か国が対象。ルノーの販売網や現地に拠点を持つ輸入業者を活用し、日産車の販売自体は継続する。並行して生産拠点の縮小を進め、すでに閉鎖を決めたスペインのバルセロナ工場に加え、21年にも同国のアビラ工場を物流倉庫に転換する。両工場の閉鎖に伴い、欧州での商用車生産は全てルノーへの委託に切り替える。
さらに欧州事業を統括するフランスの「欧州日産」は、販売やマーケティング業務の縮小に合わせて人員を削減する。東欧以外については、一定数の販売が見込める中核地域と位置づけ、自前での事業展開を維持する。英独仏、イタリア、スペインの5か国と、電気自動車(EV)の普及が進む北欧が対象となる。
日産の欧州事業は深刻な不振に陥り、販売台数は18年3月期の約76万台から20年3月期は約52万台と約3割減少。欧州事業での本業のもうけを示す営業利益は、18年3月期の143億円の黒字から20年3月期は290億円の赤字に転落した。日産は20年3月期に404億円の営業赤字を計上したが、その多くを欧州事業が占めている計算となる。
20年5月にまとめた中期経営計画「日産ネクスト」は、事業の選択と集中を通じて22年3月期に営業利益の黒字転換を目指す方針を打ち出した。日本、北米、中国の3大市場に経営資源を重点的に投入する一方、それ以外の地域や市場は主に提携するルノーや三菱自動車の生産・販売網を活用した展開にとどめる。主力市場の一つと位置づけてきた欧州は、事業縮小による立て直しを進める考えで、今回のリストラ計画もその一環となる。
最終更新:1/1(金) 12:49