露、ウクライナ東部2地域の独立承認検討 部隊駐留へ布石か
ロシア・モスクワ郊外の大統領公邸からオンライン会議に参加するプーチン大統領=8日(AP)
ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ情勢をめぐり、臨時の国家安全保障会議の会合を開催した。会議の冒頭、ウクライナ東部で親ロシア派が実効支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」(ともに自称)の2地域の「独立」の承認について検討すると表明した。承認した場合、ロシアはこの2地域を事実上、統制下に置くことになる。
2地域はウクライナ東部で紛争が激化した2014年、「人民共和国」として独立を宣言したが、ロシアを含めこれまで国際的に承認されていない。独立を承認した場合、ロシアは要請を受ければ、露軍部隊を2地域に駐留させる根拠として主張するとみられる。
ウクライナ東部紛争の和平合意にも反し、露軍のウクライナ侵攻に警戒を強める同国政府や米欧の反発は必至だ。
露メディアによると、2地域の指導者は21日、ロシアに独立承認を要請するビデオ声明を発表。プーチン氏は、ウクライナ東部の親露派武装勢力と同国政府軍の紛争で「ロシアは平和的解決を模索してきた」としつつ、政府軍は現在、親露派に攻勢をかけていると主張。独立承認問題について「意見を聞き、今後の対応を決めたい」と述べた。
米ホワイトハウスはこれに先立つ20日、バイデン大統領がウクライナ情勢をめぐり、プーチン氏と会談することを原則的に受け入れたと発表した。ロシアが侵攻に踏み切らないことを条件とした。
ホワイトハウスの声明によると、24日に欧州で予定される米露外相の会談後も侵攻がなければ実施するとした。声明はロシアが近く「全面的な攻撃」を仕掛ける準備を進めているとする一方、「侵攻開始の瞬間まで外交(解決)を追求する」と強調した。
フランス大統領府も21日、バイデン氏とプーチン氏が米露首脳会談の開催に原則合意したと発表した。マクロン仏大統領が先立って米露各首脳との電話会談で提案したとしている。発表によると、米露両首脳の会談に続き、欧州の安全保障をめぐって関係国が協議に加わる計画という。
一方、タス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は21日、米露首脳会談について「現時点で具体的な計画はない」とし、「必要と考えれば会談はいつでも設定されうる」と述べるにとどめた。(モスクワ 小野田雄一、ワシントン 大内清、パリ 三井美奈)
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